人気ブログランキング | 話題のタグを見る

M's Bar/男の書斎・別室

ロータスの行方 その1 ~ロータス エリーゼSがカタログ落ち?~

 一部のブログで話題になっていて、確たる裏取りなどもできないのだけれど、気になる情報ではあります。ロータス エリーゼのボトムエンドのモデルである「S」はトヨタのエンジン、1ZZ-FEを搭載しているのですが、この「S」というモデルがカタログから姿を消し、生産終了になる、と。

 エンジンのみならずパーツ類は量販車から流用するのがロータス社の流儀で、供給を受けて転用しているという訳です。ところがこのエンジンはもはやトヨタでも型遅れになっていて、2ZR-FEという後継が開発され採用が始まっています。

 昨今の自動車不況も影響しているのでしょう、ロータスが世界中で販売するエリーゼが年間何台かは分かりませんが、せいぜい千台に満たない数百台くらいのセールス のために、古いエンジンを生産、供給し続けることがないのは、まあ当然と言えるでしょう。取り急ぎ1ZZ-FEが得られないのだから、エントリーモデルである「S」グレードは販売ができなくなるということで、カタログ落ちになるという噂なのです。
 
 気になるのはこのことと同時に、ロータスにしてみれば別にどのメーカーのエンジンでもよいのでしょうが、この入門車種の販売を止めてしまうかもしれないことです。つまり、新たにエヴォーラを発表して、目指せポルシェ、追いつけフェラーリという企業モードになっているとしたら、高級車路線にシフトするということで、これは過去にロータスが失敗した路線そのままです。情報筋によれば、エヴォーラのための設備投資をもちろん行っていて、これを七年で償却する計画らしい。そのためには、さしてオートメーションにもなっていない工場のラインをエヴォーラに注力させてゆく必要があると。エヴォーラよりも利幅の小さいエリーゼは生産を抑えたい、という狙いがあるようなのです。

 先日発売した「クラブレーサー」という限定車は、1ZZ-FEの在庫を減らすためのモディファイ販売であったのではないかというのは、何やら信憑性のある話です。

 仮に入門グレードを捨てて、アッパーな路線に邁進したら、とたんにロータスの経営は悪くなってしまう可能性があります。次節からF1にカムバックしてネームバリューが上がるにしても、大方のロータスファンは、伝統である比較的廉価なロードゴーイングスポーツに期待と支持を寄せているのであって、ラグジュアルな高級スポーツカーのマーケットには既に多くのライバルが多くいます。
 
 メーカーの企業戦略というのは難しいものですね。我々ユーザーは好き勝手なイメージをメーカーに付与して、それにそぐっているか否かを常にウォッチし、期待から逸れると文句を言う。クルマの世界ではホンダなんかも、そのよい例でしょう。いつまでたっても創業者「本田宗一郎」的な物語、アウトプットを求めてしまう。一方で企業体としては巨大化して、もはや日本を代表する企業になって、鶴の一声でレース車を開発するなんて牧歌的な風土でない。プロダクトアウトは風化し、いかにマーケットインするのかにしのぎを削っている。

 ロータスがどのような道を辿るかは、世にあるユニークな特徴を持った製品を送り出す中小規模のメーカーがどのような戦略を採ると成功し、また失敗するのかのケーススタディーになるものと思われます。
by itsunire4311 | 2009-12-20 23:52 | CAR