M's Bar/男の書斎・別室

CR-Z 《その2》

 昨日CR-Zに試乗し、一夜明けて再度記しておきたくなった。車としての説得力があったからこうして色々と考えを巡らせることになるのだろうと思う。

 ボディーがしっかりとして剛性感があることはCGTV(カーグラTV)を見たら松任谷先生も仰られていたのだが、加えて特筆すべきことはモーターアシストによる低速時のトルクだ。開発にあたって参考車両として購入したというロータス・エリーゼの魅力をしっかりと捉えて、CR-Zの乗り味に明確に反映させている。エリーゼほど圧倒的な加速感ではないが、車を走らせている実体が伴うことはCR-Zの大きな魅力だ。つまり乗り味についての個性がきちんとあった。

 ホンダ車はこれまでVTECの特性の通り、低速時は少し線が細いものの、回転数を上げてカムに乗ると気持ちがいいというエンジンの特徴を有していた。しかしこのCR-Zは低速から積極的にエンジンにモーターの助けを付加して街乗りでも楽しい設計になっている。

 これが何よりCR-Zの頭のいいところで、わざわざサーキットで走行させないと楽しさが得られないクルマってどうなのよ、と訴えているように感じるのだ。そこまで肩意地を張るような時代じゃないでしょ、クルマってそんな状況に置かれてないよね今、というメッセージでもある。

 大変正しい社会認識だ。欲張ってTYPE-R化させなかったのは慧眼だと思う。見切りのいい社会認識の視座を製品として具現化させたのだから、これはひょっとすると《かなりいいクルマ》なのではないだろうか。独善的で小難しい隘路に迷い込むようなマニアックさがなくていい。クルマの魅力を並のドライビングスキルの人間にも分かりやすく提示するというのは、かつてのホンダ車を想起させるではないか。 

 こういう技術と走行感覚の実現を、フィットやらオデッセイやらにも反映させて欲しい。あちらのクルマ達には惹かれるような乗り味というものが、悲しいかな存在しない。フィットの乗り味と、CR-Zのそれはあまりにも違う。価格にして倍ちょっとだから仕方がないとは言わせたくない。

 話は変わるが、スピーカーのメジャーブランドJBLのフラッグシップ機、エベレストDD66000(定価約600万円也)と4319(定価30万ちょっと也)には一貫したサウンドポリシーがあった。価格が安いものにもメーカーとして一気通貫する《JBLらしさ》を厳然とまとわせている。

 ホンダだって、やってできないことなどあるはずもない。

 いやフィットは主婦の乗る経済車で、CR-Zは走りを重視する車だから、乗り味は違って当然でしょ、というのはもちろん先刻承知。だがオーディオの世界では、JBL4319がどうにも話にならない一般大衆向け製品かというとそんなことは決してなくて、廉価だから音質は手を抜いていますというのは成り立たない。だからクルマだって、ボトムを担うような車種がゆえ、走りの楽しさは随分損ねられてしまっているけど許してね、荷物も沢山載るし、誰でも運転しやすいようにはしたからさ、というのはナンセンスなのだ。

 どうにもフィットとCR-Zの差は大き過ぎるように思う。何といってもJBLのエベレストと4319には20倍もの価格差があるにも関わらず、なのだから…。
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by itsunire4311 | 2010-05-03 12:32 | CAR